IPOバブルの審査は大丈夫か?

tokyostock新興市場の上場ブームはまだ続きそうだ。これは景気が良くなって業績の良い会社が増えているのかというと、 必ずしもそうではない。上場ブームの大きな要因は審査の甘さにある。今までの審査基準で上場できなかった 水準が、承認レンジに入って来たという要素も大きい。

個人的には最近の上場ブームの陰に、ある特徴を感じている。かつての上場ブームは、設立数年で事業を拡大し、 一気にIPOを目指すものが多かった。

しかし今のIPO銘柄の一部を見てみると、以外と社歴の長いベンチャー企業も多い。 そしてその特徴は、直前期、もしくは直前々期の純利益が落ち込んでいる会社が多いことだ。

6月27日上場のレアジョブ(2007年設立)
2012年3月期の純利益-15百万円→2013年3月期は-109百万円→そして直前期の2014年3月期に35百万円→承認

9月17日上場予定のロックオン(2001年設立)
2011年の純利益21百万円→2012年は6百万円→直前期の2013年に40百万→直近3Qの95百万円→承認

9月18日上場予定のリアルワールド(2005年設立)
2012年9月期の純利益36百万円→2013年は2百万円→そして直近の3Qで80百万円→承認

いずれの会社も上場直前の利益が、その前よりも落ち込んでいるのが分かる。目論見書を詳しく読んでいないので、これらの企業が該当するかは別として、上場直前に資産を見直す会社は少なくない。減価償却中の資産を除却すれば、損益計算書上の毎月の数字は良くなるため、仮に全く同じ業績だとしても見た目の利益は増える。こうした数字のマジックで成長を装う事ができるのだ。

新興市場の上場基準は売上10億、経常3億といわれた時代があったが、最近のIPOを見るとそのハードルは遥かに低い。そのハードルすら資産の見直しで無理やり作ったとなると、上場審査の甘さと言わざるを得ないと私は思う。

もちろん特損後の利益は実力値と言っても良いのだが、その成長性には疑問が残る。まして、この特損を主幹事や監査法人が見て見ぬふりをしてバックデートしたり、価値のあるものまで除却したり、そんなことがない事を願うばかりだ。

私は上場というのは企業にとっても経営者にとっても大きなチャンスであり、今後も上場を目指す企業が多くあって 欲しいと思う。ただ、審査を甘くした結果、株価の暴落を招き、新興市場の信用を落とすことだけはあってはいけない と思う。また市場が落ち込めば、本当に良い会社が調達できないという状況を招きかねない。

東証をはじめ、主幹事証券や監査法人は、上場ブームの今こそ、もう一度審査基準を見直して欲しい。